ブドウ畑

マッセートの畑がある丘は、ティレニア海を見下ろすように大きくせり出しており、青色粘土層にある深い謎と、少しずつ明らかになる意外な事実があふれています。

畑の土壌

「ここで極上のブドウが育ち、素晴らしいワインができるに違いない」との直感は正しかったのです。畑では常識を越えることが起き、素晴らしい個性を備えた新しいワインが生まれました。

マッセートの畑は、地味に乏しく、痩せて乾燥しており、作物が勢いよく生い茂るようには見えません。そんな畑が、毎年、誰にも予測できない驚異の潜在能力を見せてくれます。どんなに厳しい天候でも、マッセートの豊かな個性と真の姿がはっきり現れるのです。 

醸造責任者兼セラーマスター ガイア・チッニレッラ
地中海の影響

地中海は、マッセートのヴィンテージに大きく影響します。
夏、さざ波の立った水面は巨大な鏡となり、ブドウが受ける日照が2倍になります。湿気を帯びた柔らかい地中海のそよ風がブドウの木や枝の間を吹き抜け、冷えた大気により、ブドウの熟成が進むのです。バランスが取れて輪郭がはっきりした柔らかな酸味がブドウの実の中でゆったりと成熟します。雨が降らない年でもブドウは瑞々しい果実味があふれ、雨が多い年でも乾燥したヴィンテージの風味が出るのです。
土の下にも、地中海の影響が見えます。マッセートの畑は数百万年前にできた青色粘土層の上にあり、ブドウは粘土層に向かって根を伸ばします。粘土層に届いた根は、太古の化石からミネラル分を吸収するのです。

上空、海底、海抜の三ヵ所から、マッセートは地中海の大きな影響を受けています。地中海がなければマッセートは存在しなかったでしょう。

青色粘土層

誰も伺い知れないブドウ畑の深い地中に、かつて地中海の海底だった巨大な地層が広がっています。数百万年前、深海の海洋生物の化石が少しずつ堆積して青色粘土層になり、それが隆起して風雨や陽光の浸食を受けました。これがマッセートの畑の地中にある青色粘土層で、400万年前の鮮新世の地層をそのまま残しています。そして、品種によらず上質のブドウが育つ理想の土壌となりました。青色粘土層は、岩石のように硬いのですが、同時に脆く、環境や気候の変化に対し柔軟に順応する優れた特性を持っています。マッセートのワインが力強く、同時に柔らかいのは、硬軟の両方の性質を備えた土壌に由来します。

醸造施設