は天候が激変した年で、寒さと雨の時期と、旱魃と熱波の時期が交互に現れました。 ほぼ平年並みの冬をむかえた後、4月の第1週に発芽しました。4月から5月にかけて寒さと雨が続いたため、ブドウの 成長がかなり遅れ、例年より10日遅れて開花しました。6月に入ると急激に温度が上昇し、月末には最高気温が37℃ に達します。夏の間、高温と晴天が続きました。気温は平年より2℃高く、45日間連続で雨が降りませんでした。 7月の最終週には、2日間にわたって恵みの雨が降り、長い旱魃が終わりました。以降、気温が平年並みに戻り、ブドウ の成熟に理想的な条件となります。 8月の初めに再び雨が降った後、収穫が始まりました。メルローの収穫開始は9月5日で、若い木から始まり、完璧な天 候のもと、9月20日に終わりました。カベルネ・フランの収穫は10月1日に完了しました。

伝説誕生の1986年から最新ヴィンテージまで

ヴィンテージの詳細情報

マッセート

「マッセートでは、できる限り人の手
を入れないワイン造りを心がけています。マッセートが目指すのは、
自然の恵みを捉え、それを最大限に引
き出すという単純なことです。」

そのような良いワインの出来栄えに欠かせないのは、ぶどう畑のすぐ下にある数百万年前の鮮新世時代の青い粘土質の土壌です。それはかつて、沿岸の沼地だったものです。何世紀もの間を経て、沼地は塩と海洋生物の痕跡に満ちた泥となりました。周囲の丘が侵食されるにつれ、徐々に泥、小石、砂、岩の破片などが蓄積していきました。その後、地震のたびにそれらの地層が押し重なり、青い粘土質土壌は海から押し上げられ、マッセートの丘の表面の近くへと運ばれてきたのです。
粘土質土壌のミネラル成分により、水中で自重分の水分を吸水することが出来ます。それにより、ぶどう樹の根が養われ、冷涼な状態に保たれ、最も暑い夏期においても適度に含水している状態になります。柔らかな沿岸の風と、明るい日差し、そして海に反射する日光がぶどうの、ポリフェノールのゆっくりとした成熟にとって完璧な、お手本のような条件を作り出しています。

「この場所はとても自然で、荒々しく、手付かずの土地です。非常にタフな場所なのです。
」ワイナリー責任者・醸造責任者のアクセル・ハインツはこのように述べています。」

いろいろな区画のブドウの特徴を細かく分析し、長所を最大限に引き出しています。これにより、オーケストラのように、各楽器のパートが集って、絶妙のバランスを備えた壮大な音楽になるのです。

ボトルを開けると、液体となった万華鏡が表われます。華麗であると同時にエレガントに輝く稀少なワインがマッセートです。 畑の土は、強靭で、同時に柔らかさも備えています。この土壌の底部にあるのが岩のように硬い青色の粘土層で、通称、「マッシ（イタリア語で巨大な岩）」。マッセートの名前はここに由来します。

マッセート

マッセティーノ

誕生物語

マッセートが誕生する前のマッセートです。 マッセートの公式の初ヴィンテージは1987年ですが、1986年にメルローを試験的に栽培・醸造して瓶詰めしました。 マッセートの丘の青色粘土質の土壌に初めて植えたメルローで造りました。これは、マッセートの最初の「プロトタイプ」であり、地下醸造庫にまだ数本のボトルが残っています。今、これを試飲すると、マッセートがメルローだけでワインを造った理由が分かります。このワインは、最初の収穫・醸造から「将来が極めて有望」でした。

1986

1987年は、全体的に好天に恵まれたヴィンテージになりました。7月は非常に気温が高く、翌8月には何度か雨が降り ました。 メルローの収穫は9月13日に始まります。

1987

1988年は、ブドウが発芽して成熟する最終段階まで全体に暑く、陽光に恵まれました。8月には気温が最も高くなりま す。 メルローの収穫は、9月14日に始まりました。

1988

1989年は、ブドウの発芽から成熟の最終段階まで、温暖な気候と晴天に恵まれました。夏季には適度に雨が降り、8 月には最高気温に達します。これによりブドウの成熟が緩やかになり、例年より熟すのが遅くなりました。 メルローの収穫は、9月28日に始まりました。

1989

1990年は、ブドウの発芽から成熟期間まで、全体に温暖で日照に恵まれま気候となりました。8月上旬に少量の雨が 降り、その後、同月末にかけて最高気温となります。1990年は1988年に似たヴィンテージと言えます。 収穫は9月5日に始まりました。

1990

ブドウの成長の初期段階は例年通りの気温で、6月15日に開花し、非常によい状態で果実がつきました。夏の数ヶ 月、気温は例年を下回り、雨量は上回りました。このため、ブドウの成熟は平年より約3週間遅れます。 収穫時期はこれまでより遅く、9月11日と17日に収穫しまし。

1991

春はボルゲリの平均的な気温となりましたが、6月一杯、湿った気候となり、その後、一転して8月まで温度が急激に上 昇しました。散発的ながら周期的に涼しい期間が訪れ、過熱状態を避けることができましたが、湿度は高いまま続い たため、果実の成熟が少し遅れ、収穫も予想よりやや遅くなりました。 9月の中旬から下旬にかけて、トスカーナ地方全土で豪雨に見舞われましたが、幸い、ボルゲリ周辺は雨を免れていま す。 収穫は、9月5日と12日に実施しました。

1992

1993年の春は、適度に雨が降り、非常に暖かい天候となりました。これにより、5月中旬という早い時期に開花を迎 え、その後、非常に暑い夏が続きます。気温は9月を通して安定し、最初に雨が降ったのは月末でした。 収穫は9月5日と22日に実施しました。

1993

1994年の春は、適度に雨が降り、非常に暖かい日が続きました。これにより、5月15日には早くもメルローが開花しま す。夏は9月末まで非常に暖かく、雨はほとんど降りませんでした。 収穫は、9月4日と15日に実施しました。

1994

1995年は、1年を通して例年通りの気候となりました。春の訪れは比較的遅く、ブドウの開花も少し遅れ、メルローは 5月24、25日に花が咲きました。6月下旬から7月初旬は例年より少し涼しく、その後、突然、30日間の非常に暑い天候 が続きました。 8月8日から断続的に雨が降って気温が下がり、9月はやや涼しい日となりました。 収穫は9月4日と13日に実施しました。

1995

春の気温は平均を下回り、出芽が遅れました。メルローは、5月24日から25日に開花します。 夏の気温は非常に安定 し、過度に暑くなることはありませんでした。 8月中旬に雨が降り、熟成が遅れましたが、9月の初めに気温が急上昇 し、ブドウは完全に熟しました。収穫は9月8日から12日に実施。その後、厳しく選果を重ねました。

1996

例年の平均気温を上回る暖かい春となり、早い時期に出芽しました。 4月の中旬に季節外れの霜に遭い、続いて雨が降ったため、ブドウの成長が少し遅くなる状態が月末まで続きました。 5月以降、天候は非常に暖かく乾燥し、夏は特に暑くなり、平均気温を上回ります。ブドウは通常より早く熟し、収穫は 8月25日から始まって9月の第1週に完了し、収穫期を通して理想の天候となりました。 ブドウの質が傑出して高いヴィンテージ（ブドウは完全に熟し、凝縮度が非常に高く、タンニンは素晴らしい成熟を見 せています）となりましたが、夏季にかなり乾燥したため、果実のサイズが小さく、収穫量は平年より少なくなりました。

1997

冬の終わりと春の初めは穏やかな気候となり、早く出芽しました。5月末に開花し、果実も均一につきます。夏は非常に 暑くて乾燥し、平均をはるかに越える高温になることもありました。 この年の降雨量は年間で450mmとごく僅かでした。果実が色づくヴェライゾンは7月中旬に始まり、極めて均一に色 づきました。7月末にブドウを間引き、理想の条件下でブドウが成熟するようにしました。 良好な天候のもと、9月3日から9日に収穫しました。収穫は区画ごとに、別ロットで行いました。

1998

冬は1998年より少し寒く、発芽は3月下旬まで遅れました。 春の気温と降雨量は平年通りで、開花時期と成長も前 年と同様で、開花は5月末でした。晩春に素晴らしい天候に恵まれ、果実のつき方は例年より良くなったようです。夏 は雨が降らず、暑くなり、ブドウの実が色づくヴェライゾンは例年より1週間早く始まり、均一に色がつきました。収穫 は9月の第2週に始まり、理想的な気象条件の下、7日間続きました。

1999

2000年は、前年の1999年より暖かい冬となりました。4月上旬、雨が降る中、均一な状態で芽吹きが始まりました。春 は、例年通りの気温で、好天に恵まれ、ブドウは順調に育ちます。5月中旬には花が均一に咲きそろいました。春先の 雨により、結実の数は前年を上回りました。夏の初めから収穫期まで、好天に恵まれ、雨は降らず、例年をはるかに上 回る気温となりました。これにより、ブドウの実が色づくヴェライゾンが例年より早い7月中旬に始まり、ブドウは理想 的な条件で成長します。収穫は8月の下旬に始まり、9月中旬まで続きました。

2000

冬は例年より気温が高く降水量は平均を越えました。これにより、3月下旬から4月上旬という早い時期に芽が出ま す。春は、気温は例年並みでしたが、雨が多く、5月中旬に開花したメルローには好条件となりました。ブドウの果実は 大きく、良好な状態でした。夏の気温も平均的で、雨はほとんど降りませんでした。9月中、気温は平均をやや下回り、 これによりブドウはポリフェノール成分がゆっくり熟し、完全に成熟しました。 収穫は9月上旬に始まり、4週間後に完了します。ブドウの状態は非常に良く、熟成も均一でした。

2001

2002年の天候は、8月10日を境に、2つに分かれます。春、ブドウの成長は例年より少し早く、その後、暑い期間と寒い 期間が交互に訪れましたが、開花時期は例年と同じで、果実のつき方も平均的でした。 以降、平年通りに成長が進みます。7月の初旬、ブドウの房を30％間引く「グリーン・ハーベスト」を実施しました。 8月10日以降は一転、雨が多く湿度の高い天候となりました。ブドウの木の成長と果実の発達のバランスを保つた め、絶えず、細かく注意を払い、これにより、ポリフェノール分がゆっくりと、完璧に熟成しました。 収穫は、9月4日に畑の上部にあるマッセート・アルトの区画で始まり、9月25日、中央のマッセート・チェントラーレの 区画で完了しました。

2002

2003年は、例年の平均気温をはるかに越える高温が続き、降雨量が少ないヴィンテージでした。4月末から9月初旬 にかけて、わずか14mmしか降っていませんが、深層にある青色粘土層は前年の大雨の水分を十分に貯めており、ブ ドウは夏を乗り切ることができました。夏の酷暑がブドウに与えたダメージは少なかったのですが、熱により畑のいろ いろな区画の特徴がはっきり表れました。猛暑により、畑の上部（マッセート・アルト）は8月25日に収穫が始まり、中 央部にある粘土質の区画（マッセート・チェントラーレ）は暑さの影響が少なく、完璧に熟成した状態となって9月18 日に収穫しました。

2003

2004年は教科書的なヴィンテージとなりました。冬には十分な降雨があり、気温が過度に下がることはありませんで した。春は好天が続き、時折、短時間の雷雨がありました。3月30日から4月10日にかけて、芽が出ます。開花すると、 つぼみの部分が豊かに成長しました（前年の高温のため）。ブドウが過剰に房をつける可能性があったため、広範囲 で繰り返し剪定し、余分な枝を切り落として、果実の品質レベルを維持しました。 初夏は穏やかな気温となり、8月は晴天で非常に暑い日が続きました。理想的な天候により、メルローは同じタイミン グで均一に熟しました。 収穫中は降雨がなく、各区画を最適のタイミングで収穫できました。収穫は、9月13日、高所にある区画から始まりました。中央部と下部は、9月17日から21日にかけて収穫しました。

2004

2005年の冬は、2月から3月にかけて数日の厳寒の日があり、芽吹きが数日遅れましたが、それ以外は、穏やかな天候 となりました。春は短く、すぐに、暑くて日差しが強い夏となります。これにより、開花は例年より1週間早く、5月20日に 花が咲きました。ブドウの優れた生命力と、理想的な天候が一体となり、早い時期から偉大なヴィンテージになる予 感がありました。6月と7月は、気温と陽光に恵まれて雨も少し降り、完璧な天候となります。好天の中、ブドウの実が色 づくヴェライゾンは、同じタイミングで均一に始まりました。8月は、例年の平均気温（32&deg;C）を
越えることなく好天に恵 まれ、順調に実が熟します。8月15日前後で雨が数回降り、これが恵みの雨となってブドウには理想の天候となりまし た。8月末に、試験的にブドウを分析したところ、非常に高いポリフェノールの値を示し、偉大なヴィンテージとなる期 待が高まりました。9月に入り、美しく晴れた日と、急なにわか雨が交互に発生します。ブドウが完全に熟し、理想的な 凝縮度になるよう、例年より遅い時期に収穫を始めました。9月14日、畑の下部から始め、9月30日、中央部の収穫で 完了しました。

2005

2006年は、雨の多い冬で始まります。続いて温かい春が訪れ、6月の第1週に開花しました。4月から8月までほとんど 雨が降らなかったため、ブドウの房は例年に比べて小振りになります。夏は、異常な高温には至らず、香り豊かなブド ウがたくさん育ちました。ブドウの成熟期には理想的な天候に恵まれ、また、房が小振りであったことから、非常に凝 縮度の高いブドウとなり、糖度、タンニン分、酸度のいずれも、例年を大きく上回りました。収穫が始まる時期には、凝 縮感があり均一に完熟したブドウとなります。 収穫は、9月6日、上部のマッセート・アルト地区から始まり、9月23日、中央部のマッセート・チェントラーレ地区で終わ り、全部で4ロットとなりました

2006

冬は非常に穏やかで、例年より降雨量も少なく、これにより、例年より10日早く芽が出ました。春も穏やかで、絶妙のタ イミングで雨が降り、ブドウには理想的な天候となって、例年より早く開花します。6月、トスカーナ全土で雨が降り、ブ ドウの成長が進みました。7月、ようやく暑くて乾燥した日が訪れ、本格的な夏となります。8月は涼しく、月の半ばに雷 雨が発生してブドウの成熟が遅れ、結局、収穫の予定日は例年通りとなりました。9月は完璧な天候で、太陽が輝き、 気温も穏やかで、雨もほとんど降りませんでした。これにより、ブドウはゆっくりと着実に熟成します。凝縮感の高いポリ フェノール分と香り成分に恵まれ、過熟も見られません。9月3日から15日にかけて収穫し、4つのロットとなりました。

2007

春は涼しくて雨の多く、例年と同じ時期に発芽しました。開花中に雨が降ったことで実の数が減り、収穫量が減少す ることになります。夏はほとんど雨が降らず、猛暑が連続し、この状態が9月の初旬まで続きました。ブドウの実が色づ くヴェライゾンも良好で、成熟も順調に進みました。夜間の温度が下がったことで香り成分や色素が豊かに育ち、昼 間に十分な日照があったことで凝縮感も上がり、素晴らしい深みがある果実味が生まれました。9月は、北から吹く冷 たい風、トラモンターナにより気温が下がります。風が吹き、気温が低下したのですが、日照に恵まれました。ブドウが 時間をかけて緩やかに成熟するマッセート・チェントラーレ地区では理想の天候となり、成熟が順調に進む一方、躍 動感とフレッシュ感にあふれる香り成分が育ちました。収穫は9月4日、若木を植えたマッセート・ジュニア地区で始ま り、最後は、9月18日、マッセート・チェントラーレ地区で完了。合計、6つのロットとなりました。

2008

冬と早春は涼しく、雨が降り、例年と同じ時期に発芽しました。5月は乾燥しましたが、6月に雨が戻ったため、ブドウの 成長や開花が遅れることはありませんでした。夏はほとんど雨が降らず、気温は35度を越える暑い日が多く、昼夜の 寒暖差は僅かでした。 8月下旬から9月上旬にかけて、アフリカから吹く強風、シロッコにより熟成が進みます。収穫開始はマッセート史上、 最も早く、9月2日に始まり、9月10日に完了しました。合計5つのロットとなりました。

2009

2010年は、近年では全てが最もゆっくり進んだヴィンテージです。つぼみが出たのは例年より10日も遅く、収穫まで スロー・ペースは続きました。春には雨が降りましたが、夏は一転して降雨のない猛暑が続き、ブドウには理想の天候 となります。9月の収穫期には、何度か小雨が降って
収穫を中断しましたが、その後、晴れて乾燥した日が続き、ブドウ は完璧に成熟しました。畑では、果実が陽光を最大限に受けられるよう葉を刈り込むなど、十分に手間をかけ細かく 手を入れたため、ブドウの状態は非常によく、健康に育ちます。夜間の冷え込みにより、芳香成分が驚くほど豊かにな り、果実味と香りに富む上質のブドウとなりました。収穫は9月14日に始まり10月4日に完了。全部で5ロットの収穫と なりました。

2010

全てがゆっくり進んだ2010年の翌年、2011年は、一転して暑くて乾燥したヴィンテージとなり、例年より早い収穫を 迎えました。 冬は雨が多く、春は例年より暖かい日が続いたため、ブドウも平年より10日早く成長します。つぼみが出たのも非常に 早く、偉大なヴィンテージの予兆がありました。6月と７月には気温が下がり、ブドウの成長が落ち着きます。開花後、お よび、ブドウの実が色づくヴェライゾンの期間、絶妙のタイミングで雨に恵まれ、理想的な条件でブドウが育ちました。 香り成分の凝縮度が上がっただけでなく、赤ワインで最も重要なポリフェノール分が例外的に豊かなブドウとなりま した。8月下旬の熱波によりブドウは完璧に成熟し、マッセート史上、最も早い収穫となります。醸造所には健全で完 璧な状態のブドウが届きました。非常にバランスがよく、過熟の気配は見えません。収穫が始まったのは8月25日で、9 月1日に完了。全部で5ロットの収穫となりました。

2011

2012年は、2011年と同様、乾燥し、ブドウが早く成長した年となりました。冬は寒くてほとんど雨が降らず、この時す でに、年間を通して水不足になる兆候がありました。例年と同じ時期に蕾が出て、正常に育ちましたが、降雨量はこれ までの平均より100mmも少なく、水不足が顕著になります。 春は穏やかで日照に恵まれ、ブドウは健全に育ちました。この結果、開花時期が早く、均一な成長を見せます。 8月の終わりから9月の初めにかけて雨が数回降り、これがブドウを熟成させる恵みの雨となりました。全体に素晴ら しい熟成を見せ、香り成分とポリフェノール分が理想的なレベルとなります。収穫は8月29日に始まり、9月17日に完了 しました。

2012

乾燥した2012年に続く2013年は、温暖で雨の多い冬で始まります。発芽は、最大15日も遅れました。春は、涼しくて 雨が多く、花が咲いたのが例年より2週間遅くなります。開花は不規則で、長期間に及びました。この結果、ブドウの生 育が不均等で、つぼみの数も例年より減少しました。幸い、6月末、例年通り夏が訪れ、乾燥して日照の多い気候に恵 まれます。7月と8月には、何回か熱波が来ました。ブドウはゆったりと成長し、暑さのピークが過ぎても時間をかけて 成熟できました。8月の嵐で、特に夜間の気温が大幅に下がったことで、香りの要素が非常に大きく育ちます。ただし、 成長が緩やかだったため、収穫時期は例年より遅くなりました。収穫は、9月12日、上部のマッセート・アルト地区で始 まり、9月25日に中央部のマッセート・チェントラーレ地区で完了しました。

2013

2014年は、マッセート史上、最も変則的なヴィンテージとなりました。温暖で雨の多い冬に続き、温かく乾燥した春と なり、発芽や開花も例年通りで順調に育ちました。7月も平年と同じ気候が続きましたが、8月は一転して雨が降り、気 温も上がらず、ブドウには厳しい気候となります。病害のリスクが上がったため、8月はまる１ヶ月、丁寧に葉を刈り込 み、こまめに病害対策を続けました。この結果、ブドウは理想の状態になり、収穫期の9月と10月には日照が戻って乾 燥した天候になりました。優れたテロワールはヴィンテージの特徴をしっかり反映します。2014年、マッセートの青色 粘土層は水を吸って膨張し、水分を下部へ通しませんでした。このため、水が土中に溜まることはなく、ブドウの果汁 の糖度は下がりませんでした。収穫では細心の注意を払い、ブドウを厳しく選別しました。区画によっては、3回に分け て収穫したところもあります。健全なブドウだけを選ぶため、選果台でも厳しくブドウを選別しました。 2014年はマッセート
史上、収穫期間が最も長く、最も遅く終わった年でした。収穫は9月5日に始まり、10月7日まで続 きました。

2014

変則的な2014年の後、2015年は例年通りで、マッセートの典型的なヴィンテージとなりました。冬は雨が多く、寒さ も厳しくなかったのですが、氷点下を下回る日が数日ありましたが、4月の初旬にはつぼみが発芽しました。春は、乾燥 した好天に恵まれ、ブドウの生育には理想の天候となります。このため、開花が早く5月末には満開となりました。6月 から、水不足によるウォーター・ストレスがゆっくり始まり、次第に目立つようになります。7月は連日、最高気温が30度 を越える暑くて乾燥した日が続き、最も暑くて乾燥した期間としてマッセート史上に残るでしょう。雨不足と熱波により ブドウの成熟が止まり、早い時期に収穫しなければならない事態となる懸念がありましたが、幸い、8月10日に激しい 雨が降り、再びブドウの成熟が進み、成熟の最後の時期はとても爽やかな気候となりました。涼しく日照が多い天候 は、収穫期間中もずっと続きます。これにより、区画に合わせて、最良のタイミングで収穫することが可能になり、フレッ シュ感と躍動感のある香りや、完全に熟したポリフェノール分、芳醇で絹のように滑らかで柔らかいタンニンを備えた 極上のブドウを収穫できました。収穫は、8月29日、樹齢の若い区画で始まり、9月16日、マッセート・チェントラーレの 区画で完了しました。

2015

2016年も近年通りの天候に恵まれました。冬としては異常に温かく、2月に大量の雨が降りました。3月下旬にはブド ウの芽が出ました。 畑の土が十分な水分を含み例年より暖かかった4月、ブドウは順調に育ちます。5月には気温が平年並みに戻り、成 長が少し緩やかになりましたが、順調につぼみがほころび、乾燥して日照が豊かな5月末、開花が始まりました。上質 のブドウができる理想の気候です。夏は、温度は例年通りでしたが、果実が熟す時期まで雨がほとんど降らず、いわゆ るウォーター・ストレスにより、上質のブドウができる見込みとなります。例年は8月中旬に降る大雨も、今年はなく、乾 燥した気候が収穫開始まで続きます。夜間は温度が大きく冷え込んだため、ブドウの木が昼の日照とウォーター・スト レスから回復する理想の天候となりました。果実は順調に成熟し、上質のワインに欠かせないタンニンやアントシアニ ンなどのフェノール分が豊かで質が高く、糖分と酸のバランスも理想的なブドウとなりました。このため例年より収穫 開始が早く、若木の収穫は8月24日から始まります。9月に入って何回か小雨が降りましたが、ウォーター・ストレス状 態のブドウには恵みの雨となりました。これにより、全ての条件が完全に揃った収穫となります。古木を植えたマッセー ト・チェントラーレの区画は理想的な天候の恩恵を最大限に受け、収穫開始の9月の第３週まで、十分成熟しました。 収穫は9月20日に無事、完了しました。

2016

2017年は、近年、最も暑く、雨が少ないヴィンテージとなりました。冬は異常に暖かく、平均気温は例年より3度も高 く、つぼみは平年より2週間も早く姿を見せます。4月末に短い期間、気温が急激に下がりましたが、生育期全体を通 して温暖で乾燥した気候となり、枝や葉が大きく育ちすぎることはありませんでした。開花と結実は順調でしたが、水 不足のため、房や果実は大きく育ちませんでした。7月と8月は暑く、降雨量はほぼゼロでしたが、夜間、冷え込んだた めブドウは高熱からくるストレスから回復し、順調に熟して理想的な酸のレベルになります。 収穫開始はマッセート史上、最も早く、8月24日から30日までの3日間で完了しました。例年とは異なる天候だったた め、区画ごとではなく、木ごとに収穫し、全部で4ロットと少ない状態になります。

2017

暑くて乾燥した2017年に続く2018年は、通常の気候に戻りました。冬は寒く、ここ数年、降らなかった雪も降りまし た。３月に入ると気候は一転し、マッセート史上、最も雨の多い春になります。気温も急上昇し、特に4月は例年の平均 気温を上回る暖かい春となりました。これにより
、ブドウの成長が急速に進み、例年より1週間も早く開花します。栽培 チームは、急成長するブドウに合わせて、最適のタイミングで適切な作業を的確に実施。つぼみを間引く摘果や、ブド ウの枝を剪定するキャノピー・マネジメントをきちんと進めました。5月になって気温は例年並みに戻りましたが、雨が 多かったため、病害の恐れが出てきました。ブドウ栽培で最も怖いのは、葉が枯れるベト病で、雨が上がった後もブド ウを注意深く監視せねばなりません。マッセートでは、ベト病対策の特別チームを編成し、雨の晴れ間を縫って畑で のスプレー作業を実施。これにより、キャノピーをきちんと管理でき、健全なブドウが育つことになりました。 7月は、晴天の暖かい日に恵まれます。畑でのブドウの手入れが一段落し、一息つけるのがこの時期で、ブドウの緑の 実が黒く色づくヴェライゾンが始まる7月22日まで続きました。 8月は、暑い日が続く一方、15日に雨が降り、乾燥状態が続いてストレス状態にあったブドウには恵みの雨となります。 糖度と酸度は例年より緩やかに上昇し、果実は、平年より早く大きく育ちました。 収穫開始は8月31日で、株仕立てにした最も樹齢の若いブドウの区画から始まりました。１週間、空けて、9月6日、古 木の区画で収穫を開始。9つある区画ごとに、別々に収穫するため時間がかかり、完全に終了したのが10月9日でし た。

2018

2019

温かく雨の多い冬に続き、3月には一時的に気温が下がり、発芽直前となった最終週には氷点下となる夜が何日かありました。幸い、発芽した芽は、芽の中の綿状組織に守られ、霜害を受けませんでした。以降、春の温暖な気候が続き、降雨量も例年並みだったためブドウは順調に生育ち、5月20日から25日にかけて開花します。6月中旬に激しい雨が降りましたが、その後、8月末まで雨がほとんど降らず、高温で非常に乾燥した気候が長期間、続きました。7 月 20 日から 25 日にかけて、ブドウの実が色づくヴェライゾンが急速に、かつ、均一に始まり、豊かな陽光のもとでブドウの熟成が進みます。8月末に恵みの雨が降りました。この雨で気温が一気に下がって昼夜の寒暖差が大きくなり、夜間の最低気温は13℃まで下って、メルローの成熟に理想の条件となりました。収穫は、果実味とフレッシュ感を最大限に保つため、わずか2週間で完了します。収穫直後、37度に達する予想外の熱波が襲って1週間も続き、絶妙のタイミングでの収穫となりました。メルローの収穫は9月14日に完了し、直後の9月16日にはカベルネ・フランの収穫も終わります。

2020

2021年は、温かく雨の多い冬で始まり、土壌に十分な水分が溜まりました。3月は乾燥した天候となり、4月の最初の2週間で芽吹きとなります。気温が少しずつ上昇し、降雨量も平年並みだったため、芽は均一に成長し、5月末には理想的な状態で開花しました。6月には例年通りの夏を迎えます。気温は平年よりやや高く、雨はほとんど降らず、7月の最終週にはブドウの実が色付くヴェライゾンが始まりました。8月と9月も雨が降らず乾燥した天候が続きましたが、ボルゲリ地方に特有の石灰質土壌に溜まっていた春の雨により、ブドウの木が過度にウォーター・ストレスを受けることはありませんでした。これにより、凝縮度に富み、高品質のブドウが育ちます。&nbsp;